新卒1年目は慣れない業務や人間関係についていくので必死、「もう辞めたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
ただ、「まずは3年頑張るべき」という考えもまだまだ根強いので、1年目で転職するのは甘えだろうかと不安になってしまいますよね。
結論から言うと、必ずしも「新卒1年目で転職は甘え」とは言い切れません。中には1年目でもすぐに転職したほうがいいケースもあります。
この記事では、新卒1年目で転職するべきかの判断基準や転職を成功させるためのポイントについてご紹介します!
新卒1年目での転職は、「本当に大丈夫なの?」と不安になる人もいるかもしれません。しかし、実際は一定数の人が1年目で転職しています。
厚生労働省のデータによると、令和2年度卒業の大学新卒者が1年以内に離職した割合は10.6%。なんと10人に1人は1年以内に会社を辞めているんです。
ただ、「じゃあ自分も転職する」と安易に考えるのはNG。まずは転職のメリットとデメリットを知って、それでも転職したいかどうか考えてみましょう。
転職すると、より自分に合った仕事に就ける可能性が高いです。
特に新卒の場合、働き始めてから「この業種は自分に合わない」などのミスマッチや現実を知ることが多いですよね。
その結果、現実を見据えて自己分析して転職時にはミスマッチを起こしにくいので、自分の適性に合った仕事を見つけられる可能性が高いのです。
自分に合った仕事なら、仕事に対して意欲的に取り組めるため、パフォーマンスもアップして、今後のキャリア形成にプラスに働きます。
人間関係や労働環境など、自分で解決するのが難しいことで悩んでいる人は、転職によって改善される可能性が高いです。
長時間労働や休みいにくい環境、年功序列の古い企業体質や飲み会への強制参加などの企業文化は会社によって異なります。
転職活動時に労働環境や会社の雰囲気などをチェックしておけば、いわゆるブラック企業に引っかかる可能性もぐんと減るでしょう。
労働環境や労働条件で悩んでいる人は、転職でメリットを感じる可能性大です。
一方で、転職するデメリットの1つが、給与が下がる可能性あることです。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、大卒の初任給の平均は企業規模によって次のように異なります。
大企業(常用労働者1,000人以上) | 213,100円 |
中企業(常用労働者100~999人) | 208,600円 |
小企業(常用労働者99人以下) | 203,900円 |
特に、新卒で大手企業に入社した人が転職すると、「前の会社は給料が高くて福利厚生も良かった…」と比べてしまうかもしれません。
「自分のやりたいことができるなら少し給料が下がっても平気」という人ならともかく、待遇面の良さを重視する人は転職で給与が下がる可能性を覚悟しておきましょう。
焦って転職先を決めてしまうと、自己分析や企業分析が十分でない可能性があります。
その結果、労働環境や人間関係が転職前と変わらなかったり悪化したりして、「こんなはずでは…」と後悔することも。感情的な転職によくあるケースです。
また、自分のやりたいことと転職が合っていないと、結局今持っている不満が解消されず、また転職を繰り返す羽目になるかもしれません。
転職を繰り返していると「長続きしない人なんだ」と面接官に思われて採用が難しくなる可能性があるので、なるべく避けたいですよね。
「とにかく今の会社を辞めたい」という気持ちではなく、「自分に合った転職先を見つけたい」という心構えで転職先を探すことが大切です。
転職にはメリットもデメリットもありますが、新卒1年目で転職を考えるのは「甘え」でしょうか。
正解は「ケースバイケース」です。甘えではなく今すぐ辞めたほうがいいケースもあれば、もう少し今の職場で頑張ったほうがいいケースもあります。
転職するべきかの判断基準について詳しく見てみましょう。
そもそもなぜ転職したいと思うのでしょうか?次のような明確な理由があるならば、新卒1年目でも転職を検討するべきです。
以上の理由は、今後も改善されない可能性が高く、自分ではどうしようもできないので、前向きに転職を考えてOKです。心身に限界が来そうな時は、まず休職して回復してから考えるのもありですね。
一方で、以下の理由なら、本当に転職するべきかじっくりと考え直したほうがいいかもしれません。
「入社したら〇〇して活躍してやる!」という夢と希望を抱いて入社した人ほど、理想と現実のギャップにショックを受けるかもしれません。
しかし、新卒1年目はまだ仕事を始めたばかり。今後もっと経験を積んでスキルを得たら、今の仕事が面白いと感じたり、パフォーマンスを上げられたりする可能性もあります。
今後自分がその会社で働く姿を想像できるなら、転職は一旦保留にして、今の仕事を頑張ったほうがいいでしょう。
一方で、「新しく自分のやりたいことができて今の会社では絶対に叶えられない」などの場合は、本当にやりたいことができる転職先を探すべきです。
まずは、なぜ自分が転職したいのか考えて、その理由が明確かつ合理的だと判断できるのなら転職へと進みましょう。
新卒1年目で転職すると、「第二新卒」という扱いになります。第二新卒の採用では、専門的なスキル・前職での実績がまだ多くないことを企業側も理解しているので、それほどスキルや経験は求められません。
とは言え、自分が希望する業種・職種で有利になるスキルや経験があるなら、転職活動はスムーズに進みます。「今の会社では自分のスキル・経験が活かせない…」という人も含めて、前向きに転職を考えてみるといいかもしれませんね。
なお、ビジネスマナーやIT・コンピューター関連のスキル、コミュニケーション能力などビジネスマンとして最低限のスキル・教養は、第二新卒の面接でも見られることが多いです。しっかりと身に着けておきましょう。
新卒1年目での転職を成功させるためには、いくつかポイントがあります。
事前に準備して、スムーズに転職活動を成功させましょう。
新卒1年目で転職活動するなら、自己分析が必須です。
「就活時も自己分析したけど…」という人もいるかもしれませんが、社会人になって改めて見えてきたこともあるのではないでしょうか?
特に「今の仕事が本当に自分のしたいことではない」と感じる人は、なぜそう思うのか分析してみましょう。
例えば、「給料がいいけど、労働時間が長く激務」という会社に働いていて転職を考えている人は、給与の高さよりもワークライフバランスが取れる労働時間が重要かもしれません。
新卒の就活の時はわからなかった、自分のしたいこと・したくないこと・重視することなどが見えてくるはずなので、自己分析を丁寧に行うことをおすすめします。
なお、転職時の面接では、「前職を辞めた理由」や「志望動機」がほぼ確実に聞かれます。面接官を納得させられる理由ではないと採用に結びつかない可能性が高いので、面接対策にも自己分析はしっかりと行っておきましょう。
新卒1年目なら、仕事を辞める前に転職先を見つけておくことを強くお勧めします。
なぜなら、まだ貯金があまりない人が多く、失業保険の給付対象にも該当しないので、退職後の生活費を工面するのが難しいからです。
仕事をやめて生活が苦しくなったら、焦って転職活動を終わらせて、転職先が合わずにまた転職…などという悪循環になる恐れも。
前もって転職活動のスケジュールを立てて、余裕を持って転職活動に取り組みましょう。
上のように「最終目標=退職日」を決めて、逆算でどのように動いていけばいいか考えるのがおすすめです。
よく聞く言葉に「第二新卒」がありますが、新卒とは何が違うのでしょうか?
転職エージェントなどは第二新卒を次のように定めています。
一般的には、新卒で入社後3年以内に転職する方を指して第二新卒と呼びます。
引用:マイナビエージェント
大卒なら25歳程度までが第二新卒と言われています。
実はこの第二新卒という枠は、採用する側にとっても魅力的な存在。新卒とは異なり社会人としての基本的なマナー・スキルが身に付いているため研修などのコストを抑えられるだけでなく、柔軟性があり業務の飲み込みも早いので、すぐ実践力になる可能性が高いからです。
一般的に、転職は年齢が上がるごとに異業種へのキャリアチェンジが難しくなりますが、第二新卒ならまだまだ異業種にチャレンジできる可能性大。
新卒で入社した会社とのミスマッチが解消されず、今後のキャリアで悩んでいる…という人は、第二新卒枠を利用して転職活動を進めてみるのがおすすめです。
以上、「新卒1年目で転職するのは甘えか」を判断する基準や、実際の転職で気を付けたいことなどをご紹介してきました!
繰り返しになりますが、明確な理由があるのなら新卒1年目での転職は決して甘えではありません。
むしろ早く方向転換できるので、今後のキャリア形成にプラスに働く可能性も大。
今の自分の状況や仕事を辞めたいという理由を考え直して、本当に転職するべきだと感じるのなら、行動に移してみてくださいね。